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このやるせなさがずっと続くなら生きる意味なんかない。一生1人で生きていく強さを得るか今すぐ死ぬかしかない。人間扱いされたかった。存在していないみたいに扱われるのが耐えられなかった。
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バスタブにお湯をためた。親から電話がきた。涙が止まらなくなった。自殺はナルシストがするものだと思っていた。でも違った。自分は全然自分のことを好きなんかじゃない。少しでも早く死にたい。
病院までの道
病院へ行く途中、旧国道沿いには海に面した公園があった。2人でどこかへ出かける時は大抵この道を通った。何度通っても、どの時間であっても口に出して綺麗だと言っていた。季節は違うが今日みたいな色味と気温がちぐはぐの日に、近くのパン屋さんで沢山パンを買って散歩しに行ったことがある。親を振り切って水面に向かって走る子供、定年してすることが無くなったのか一日中寝転がっていそうな中年男性、家着のような格好で散歩しているカップル、公園内にはたくさんの人がいた。走り回る大小の犬と海をみながらベンチに座ってパンを食べた。載っていたウインナーを落としてしまった僕を見てあの人はどうしようもないな〜という表情で笑っていた。病院の診察室は4畳半ほど、これでもかと罵声を浴びせたあの人の部屋もこれくらいの広さだった。少しでも距離を取るかのように対角線上に座っていた。帰り道も視界の隅に白く光る海が見えただけだった。あの時落としたウインナーは鳥が食べたのか、アリにでも少しずつ食べられてしまったのかとふと思い出した。